2018年04月07日

アリスで取り扱っているコピー用紙「Copy&Laser」の仕入先から、同製品の価格値上げと、その対応策としてのブランド切り替えの申し出がありました。今回の値上げの背景には、パルプ価格と国内の物流コスト、特に小口運賃の高騰があります。 いずれにせよ代理店様には大きな影響が出ることから取り急ぎご連絡します。
仕入先からの申し出はつぎのとおりです。
1. APRIL社(Asia Symbol社)の輸入コピー用紙「Copy&Laser」の販売価格を5月、7月、9月の3段階に分けて値上げしたい。
2. その背景には、市販パルプ、特に輸入パルプ市況が(これまで長らく500ドル台/トンで安定していたもの輸入パルプ市況が、最近、史上最高値の900ドル台/トンを付けて高値安定してきていることがある。
3. その対応策として仕入先は、(運賃を除く)品代を上げなくても済むように、パルプを自社生産している国産メーカーに仕入先のPBブランドのコピー用紙を製造委託してそのブランドに切り替えることで、供給するコピー用紙としての価格が上がることを極力抑えたい。
4. PBブランドの品質、特に白色度は「Copy&Laser」と同等とする。
5. ただし、国内物流費は現在上昇を止められないのが実態。車取りをしていただける大口届の取引の場合は5%程度の値上げで対応できる見込みだが、ケース単位の小口届の取引分は運賃については、20%近くの大幅な値上げをお願いする可能性が高い。

これに従うと、アリスは9月には代理店様に品代の上昇分だけで3%~20%、国内運賃までを勘案すると運賃込みの販売価格では5%~30%以上の値上げのお願いしないといけなくなると予想されます。(車取りはともかくも小口は30%近くの値上げにもなる)

アリスとしては、代理店様への影響を極力緩和するために、以下のように仕入先と交渉しています。

11. そのような急激な値上げはとてもアリスの代理店様に受け入れてもらえない。アリス既存顧客への値上げは市場浸透後にしてほしい。
12.「市場浸透」とは文具通販会社やネット通販のAmazonの価格(FBA)の値上げが確認されたときである。そして、値上げ後の価格は、もちろん今まで通り、これら各社の小売価格以下で売っても代理店様に流通マージンを確保できる価格でないと話にならない。
13.アリスが先行して値上げしても、その影響力は少なく値上げ浸透にはならない。取引先を失うだけである。それはすでに過去に経験済みのことである。
14.文具事務用品の主要通販は2月と8月に*カタログを改定する。現在配布されている2月カタログの改定がされるのは8月となろう。そこで値上げがされていれば値上げは浸透ということになり、アリスの代理店様にも理解していただけるであろう。よって、値上げが必要としても8月以降にしてほしい。
15.市場浸透を待たずに値上げ通知をして取引を失う愚はお互いに避けたい。
16.難しいとは思うものの、アリスとしては他の仕入先候補にも当たり価格高騰回避の努力をしてみたい 。

なお、紙業界は戦前王子製紙の作った流通慣行があり、現在も各メーカーの代理店権をもつ会社は数社に絞られており、たとえ総合商社といえども代理店権は得られずに2次店に甘んじています。アリスの出身母体であった住友商事もその例外ではなく、王子製紙、日本製紙等から直接仕入れることはできませんでした。現在製紙メーカーは代理店と一緒になってその傘下にある2次店、3次店まで把握しています。流通の入れ替えは原則せず既存流通業者の権益を守っています。このため、成長著しいユーザーや販売業者でも紙ビジネスへの参入が難しく、アリスも国内メーカーの製品は、メーカーの代理店権をもつ会社から仕入れるしかありません。
また、アリスが直接コピー用紙の輸入をすることも残念ながら難しいのが実情です。
アリスはもともと、住友商事の子会社だった1995年当時、APP社のコピー用紙を最初に日本市場に本格的に輸入した会社です。しかし当時は、現在日本のコピー用紙市場でシェアを獲得しているAPP社を初めとする海外メーカーは日本法人をもっていなかったため、取引が可能でしたが、現在は、APP社もUPM社もAsia Symbol社も日本法人を持ち、在庫もしています。そして日本のメーカーに倣い、代理店権を特定の紙流通に絞り込んできています。アリスは2016年にも直接輸入を試みましたが、3社とも日本法人のトップに面談をしたものの、彼らは日本で相互の競争は避けることを暗にほのめかしアリスが直接輸入する余地はありませんでした。
このため、アリスは、輸入紙も現在の仕入先を通して商材を確保しております。
以上の紙業界特有の事情をご理解ください。その他、ご不明な点があれば、アリスにお問い合わせください。